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これからのために [ひとりごと]

全ての命には限りがあるけれど、他の誰かの命に伝承されていくことはできる。
たとえ小さなお菓子であろうとも、立派な文化として受け継いでいくこと。
作り手だけでなく、食べ手にとっても同じことが言えるのではないかと。

私にとっては母や祖母が教えてくれた家庭の味と同じくらい大切に思うプロの味。
私がプロと思うのは素材とお客と自分自身に真正面から向き合っている方。
母が注いでくれた無償の愛と同じくらいに、プロに対する有償の敬愛を。

誰かの犠牲の上に成り立つ益を享受することはしたくない。
誰しも自分の仕事に誇りを持って生きたいと思うの自然なこと。
適切な対価を受け取り、生計を立て、社会貢献する。
適正な収益を得て(従業員を雇用しつつ)納税を継続すること。
その積み重ねが文化となり、社会を形成していくこと。
ここに私は無償の愛とは違う決定的価値を見出しているのです。

お店はお客無しには成り立たない。
お客の望むものを届けるのがお店の使命であるならば、
お店の運命の(少なくとも一部は)食べ手が握っているのではないだろうか?

私の感情、感覚、環境が変化していくように
今、ここに在る素晴らしいお店たちも変わっていく。ずっと同じでは居られない。
20年以上前に出逢った今はもう無きフランス菓子店の記憶が確実に私の中に在るように
今の記憶を誰かに伝え、更に次の世代へと受け継がれていくための栞になれますように。

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